宮城県の事業承継を徹底解説!現状や流れ・事例・成功させるコツとは?

宮城県は、震災からの復興を遂げつつも、多くの中小企業が事業承継に課題を抱えています。
特に中小企業が地域経済の基盤を支える地方では、事業承継の問題が深刻化しており、事業の継続が地域の雇用や経済発展に与える影響は計り知れません。

高齢化が進む中、次世代への事業引き継ぎが急務となっており、後継者不足の問題が顕在化しています。

こうした背景のもと、地域の経済を支えるためにも適切な事業承継が重要となります

本記事では、宮城県における事業承継の現状や課題、成功のコツなどを徹底解説します。

この記事はこんな人におススメ

  1. M&Aをしようとしているしている宮城県の中小企業
  2. 後継者不足で悩む宮城県を中心とした地方の事業者
  3. 会社の事業が多すぎるため、整理したい
  4. 廃業したくない中小企業
  5. 従業員やノウハウを後世に継がせたい
目次

宮城県の事業承継の現状とは

まずは宮城県のお話に入る前に、全国の事業承継の件数についてご紹介したいと思います。

令和6年5月30日 独立行政法人中小企業基盤整備機構 News Release より

上記の図は、全国の事業承継・引継ぎ支援センターでの成約件数をグラフ上に表しているものになります。

この図を見ると一目瞭然ですが、分かりやすく令和5年度に向けて毎年増加している数値を見ることができるかと思います。

このことより、全国的にも近年になり事業承継という手段が活発的に使われるようになったと言えます。

宮城県でも、同様に事業承継の件数は年々増加しています。
では、宮城県で事業承継の件数が年々増加している背景にはどのような要因があるのでしょうか。
ここでは、主に後継者不足と、宮城県の地域特有さに焦点を絞って紹介していきたいと思います。

宮城県の後継者不足の深刻さ

まずは、宮城県の後継者不足の深刻さです。

後継者不足は、企業の存続を脅かすとても深刻な問題です。
多くの経営者が高齢化する中、事業の継続が難しくなるケースが年々増加しています。

この背景には、若年層の人口減少や都市部への流出などが挙げられ、地元で事業を継ぐ意思を持つ若者が減少していることが大きく影響しています。

特に宮城県は仙台市を除いて、多くの地域で人口流出が後を経たないといった現状です。

さらに、後継者が事業を継ぐためには、経営に関する深い知識や経験が求められるため、その準備が不十分な場合には、承継後に事業が失敗するリスクが高まります。

このように、後継者不足の問題は、多くの要因が絡み合い、容易には解決できない複雑な課題となっているのです。

特に宮城県では農業分野での後継者不足が顕著!
家族承継がうまくいかずそのまま廃業し、農作放棄地帯が増えている現状もある。

地域特有の要因

次に、地域特有の要因です。

宮城県は震災後の復興支援や地域振興策が進む一方で、地域特有の要因として、事業規模の小ささや地元密着型の経営スタイルが事業承継を困難にしているといった現状があります。
これによって外部からの支援を受けることが難しく、自力での事業承継が求められるケースが多く見られます。

さらに、地域特有の市場環境や顧客層の変化も、事業承継において考慮すべき重要な要素の1つです。
新たな経営者が地域の特性を理解し、柔軟に対応することができなければ、自社の事業の維持が困難になる可能性があります。

また、震災の影響を受けた地域では、インフラの復旧や住民の生活再建が優先されるため、事業承継に取り組む余裕がない企業も少なくありません。

事業承継の流れについて

ここからは、実際の事業承継がどのように進むのかについて解説していきたいと思います。
大きく3つに分けると

①事業承継にまつわる準備
②承継計画の策定
③承継後のフォローアップ

となります。
流れに沿って紹介していきますので事業承継を検討中の方は是非チェックしてみてください。

①事業承継の準備

まず1つ目は、「事業承継の準備」です。

事業承継は、早期からの準備が成功の鍵となります。
まずは後継者の選定から始め、現経営者が計画的に役割を移譲していくことが重要です。

この段階では、後継者が経営の全体像を理解し、必要なスキルを身につけるための研修や指導が行われます。
また、現経営者との信頼関係を築き、スムーズな承継ができるよう、コミュニケーションを密に取ることが求められます。

事業の現状を分析し、将来的な課題を洗い出すことで、承継後のリスクを最小限に抑える準備が必要です。
こうした準備が整えば、後継者が自信を持って経営に臨むことができ、事業承継が円滑に進むでしょう。

②承継計画の策定

2つ目は、「承継計画の策定」です。

承継計画には、後継者の育成や資産の移転、税務対策など、多くの要素が含まれます。
ここでは専門家の助言を受けながら、詳細な計画を立てることが推奨されます。

まず、後継者が企業の経営に関与するタイミングや役割分担を明確にし、段階的に権限を移譲していく計画を立てます。
この際は事業承継に伴う資産の移転や、相続税・贈与税などの税務対策も考慮しなければならず、税理士や弁護士などの専門家のサポートが不可欠です。

さらに、承継後の経営戦略や事業の方向性についても、現経営者と後継者が協議し、将来のビジョンを共有することが重要です。

これらを行うことで、事業承継のリスクを最小限に抑え、スムーズな移行が可能となります。

③承継後のフォローアップ

M&A 仙台

3つ目は、「承継後のフォローアップ」です。

事業承継が完了した後も、フォローアップが必要不可欠となってきます
新体制の定着や、経営戦略の見直しを行い、継続的な成長を目指します。
後継者が経営に完全に慣れるまでの間、現経営者や外部専門家がサポートを続けることで、事業の安定と成長を図ります。

特に、承継直後の時期は、新しい経営者にとって試練の時期となりやすいため、適切なアドバイスやフィードバックが重要となってきます。

また、従業員や取引先との関係構築もこの時期に強化する必要があります
新しいリーダーシップの下で、組織が一丸となり、共通の目標に向かって進んでいくことが、事業承継の成功に直結するといっても過言ではありません。
承継後の経営方針や戦略が一貫しているか、計画通りに進んでいるかを定期的に確認し、必要に応じて調整を行うことも必要不可欠です。

宮城県周辺での事業承継例について

では、実際に宮城県とその周辺(東北)ではどのような事業承継が行われているのでしょうか。

ここからは、その事業承継例をケースごとに紹介したいと思います。

ケース①:支那そばや|M&A

「支那そばや」は1998年に石巻で創業し、行列ができるほどの人気を誇るラーメン店です。
元店主の佐々木さんが年齢や体力の面から引退を考え、2018年頃から石巻商工信用組合を通じて後継者を探し始めました。

長期間適任者が見つからない中、高橋さんが候補として紹介されます。
高橋さんは飲食店での勤務経験があり、ラーメン店の開業を目指していたところ、支那そばやの引き継ぎの話が舞い込んできたのです。

その後、商工信用組合と事業承継・引継ぎ支援センターが連携し、双方の意思確認や財務状況の確認を経て、2020年10月に不動産や商号、従業員の承継が実現しました。
支那そばやの伝統と味を守るため、佐々木さんは引退後も開店前の味の確認を続け、高橋さんはその指導を受けながら味の安定に努めました。

結果的に今回の事業承継により、支那そばやの歴史と伝統が次世代に引き継がれ、店の存続が可能となりました。

ケース②:株式会社ジェス山形|従業員継承

佐藤千香さんは「株式会社ジェス山形」の代表取締役で、約40校に運動靴・運動着を卸している企業の事業承継を行いました。

2017年に事業承継を打診されたものの、進行中に会長が急逝。
佐藤さんは支援センターや金融機関と協力し、負債の清算と新会社設立を進めました。

最も困難だったのは、前社長との交渉でしたが、専門家のサポートを受け、無事に事業承継を完了。

今後は、地域資源を活かした運動着の制作など新たな取り組みを計画しているそうです。

ケース③:有限会社 渡辺工業所 × 有限会社 新村工業所|M&A

有限会社渡辺工業所(福島市)は、約80年間にわたり自動車や電子部品の周辺機器を製造してきました。
創業者の渡辺さん(72歳)は、従業員と取引先のために技術を残すことを決意し、事業承継に取り組むことになりました。
しかし、息子が他業種に従事しており、従業員への承継も難しい状況に直面しました。

2019年、福島県事業承継・引継ぎ支援センターの紹介を受けた渡辺さんは、支援センターの専門家の助言を得て、承継先を模索しました。
結果、地域の同業者である新村工業所と連携することが決まりました。
新村工業所は食品加工設備を製造しており、代表取締役の新村さんは、技術の継承に大きな魅力を感じました。

両社は、五者面談を通じて譲渡条件を調整し、円滑な事業承継を実現。
新たに設立された「エヌテク株式会社」では、従業員の成長が見られ、事業も順調に進展しています。

事業承継で失敗しないためのポイント

最後に事業承継において、失敗しないポイントを3つほどご紹介したいと思います。

早期準備と計画

1つ目は、「早期準備と計画」です。

事業承継には、後継者の選定や後継者の育成・教育、業務の引継ぎなど、実行までに平均して10年程度を要すると言われている、とても長いものになります。

まずは、経営者として、事業承継に向けた準備の重要性を十分に認識すること、そして、平均引退年齢が 70 歳前後であること、事業継承に平均10年を要することなどを踏まえて、60 歳頃には最低でも事業承継に向けた準備に着手することがポイントとなってきます。

なので、早め早めの行動を取るようにしましょう。

適切な選定と育成

2つ目は、「適切な選定と育成」です。

事業承継の成功には、適任の後継者を見つけ出し、しっかりと育成することが不可欠です。

まず、後継者を選定する際には、選定基準を明確にすることが重要です。
経営能力や戦略的思考、問題解決能力、リーダーシップスキルなど、経営に必要な能力を持っているかどうかが問われます。
また、企業の将来をどのように見据えているか、企業の方向性に合致するビジョンを持っているかも重要な要素になってくるのでしっかり見るようにしましょう。

さらに、企業の価値観や文化を理解し、尊重できるかどうか、信頼性や誠実さ、対人関係のスキルなど、人間性の面でも適任であるかも評価すると良いでしょう。

そして、同時に育成も大事になってきます。
後継者の育成には、計画的なプログラムが必要です。
まず、具体的な育成目標を設定し、何を達成するべきかを明確にします。
その上で、経営スキルやリーダーシップの訓練プログラムを設け、後継者に必要な知識とスキルを習得させましょう。
また、現場での実務経験を通じて、実践的なスキルを身につけさせることも重要です。

専門家などへの相談

3つ目は、「専門家などへの相談」です。

事業承継の諸々は分かってはいるものの、初めてのことで何から手を付けていいのか分からないものかと思います。

その際は、まず、顧問の公認会計士・税理士や取引金融機関、公的支援機関など、信頼の置ける相手に相談してみるのが一番いいでしょう。
親族や役員・社員への承継を漠然と考えている場合であれば、親族や後継者候補自身と話をしてみることも重要なことの1つです。

また、後継者が未定である、あるいは不在であるという場合であれば、弊社をはじめとした民間の事業継承・M&Aサポート会社や各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターに相談してみるのも良いでしょう。

以上のように、事業承継に取り組んでいくにあたっては、とにかく「早めの相談」がポイントです。
とりあえず、まずは信頼の置ける相手に相談してみましょう。

当社の強み

トリガーコンサルティングではM&A・事業承継のサポートを行っております。

・事業承継実績は100件越え
中小企業診断士として専門知識と多くの事例に基づく経験
・各専門家と協力し、財務・法務・税務の各分野にわたる包括的なサポート

M&Aや事業承継にお困りの企業様がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。
詳細は以下のページからご確認ください。

最後に

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この記事の監修

株式会社トリガーコンサルティング
代表取締役 伊藤翔太

経済産業省登録 中小企業診断士
認定支援機関登録

宮城県/仙台市を中心に、
東北の経営コンサルティングをしている。
補助金支援や融資支援などの
財務コンサルティングを始め、Googleマップ、
Instagram、公式LINE等の
Web集客コンサルティングを専門領域としている。

当社の特徴

・200社超の経営支援実績
・補助金採択率97%(35件中34件の採択)
・営業損失300万円の会社を3カ月で黒字化達成
・Web集客支援で、月間新規顧客数を0件⇒10件
など、経営改善から売上アップまでのトータルサポートを得意としており、
建設業、運送業、飲食業、不動産業等の様々な業種に対応している。

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