宮城県・仙台市でのM&Aの実態とは?地方特有の特徴と最新の事例を徹底解説

仙台市でM&Aを検討している企業の皆様
M&Aの要件を正しく把握していますか?
地方都市でのM&Aは、中小企業や家族経営の企業が多く、独自の課題やメリットがあります。
また、地域経済や地元銀行の役割など、都市部とは異なる要素が重要となります。
この記事では、仙台市のM&A市場の現状や成功事例、地方特有のM&Aの特徴を詳しく解説します!
この記事はこんな人にオススメ!
- 仙台市でM&Aを検討している企業の経営者
- 地方特有のM&Aの特徴を理解したい方
- 地元銀行や公的支援を活用してM&Aを進めたい方
- 地域経済の影響を考慮したM&A戦略を立てたい方
- 仙台市のM&A市場の最新動向を知りたい方
M&Aとは?

まずは、M&Aとは何かについて説明していきたいと思います。
M&Aとは、「Mergers & Acquisitions」の略であり、企業の合併や買収を指します。
企業が他の企業を買収したり、二つ以上の企業が合併して新しい企業体を形成する行為を含みます。
企業の成長戦略として重要な手段であり、競争力の強化、事業拡大、新規市場参入などを目的として行われます。
M&Aの種類
M&Aは、事業承継における選択肢の一つです。「Mergers & Acquisitions(合併と買収)」の頭文字を取ったもので、「企業や事業の経営権を第三者へ移転あるいは譲渡すること」や「複数の法人格を一つにまとめること」を指します。
主に合併と買収の2種類があるのですがそれぞれの特徴について解説していきます。
合併 (Merger)
ここで言う合併とは、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになることを指します。
詳しくは下の図をご覧ください。

買収 (Acquisition)
ここでの買収とは、ある会社が他の会社を買ったりすることを指します。
こちらも、詳しくは下の図をご覧ください。

地方特有のM&Aの特徴

地方都市でのM&Aは、都市部と比較して企業の規模が小さいことが多く、そのためM&Aの規模も相対的に小さくなる傾向があります。
以下に、地方特有のM&Aの傾向をいくつか挙げます。
- 中小企業のM&A:地方では、大企業よりも中小企業が主な対象となります。これらの企業はしばしば地元の経済に深く根ざしており、地域社会に対する影響を考慮したM&Aが求められます。
- ファミリービジネスの売却:地方には代々続く家族経営の企業が多く、後継者問題がM&Aの主要な動機となります。
- 産業特化型のM&A:地方特有の産業、例えば農業、漁業、観光業などに特化したM&Aが頻繁に行われます。これらの産業は地域の特性に密接に関連しており、地元の専門知識を持つ買い手が求められることが多いです。
宮城県のM&A市場の現状と分析
宮城県は、東北地方の経済的中心地であり、企業のM&A活動も比較的活発に行われています。
以下に、宮城県のM&A市場のグラフとそれについて詳述します。

https://www.recof.co.jp/area/tohoku/miyagi/
グラフから分かる通り2022年の宮城県のM&A件数は41件となります。
内訳(買手-売手)は、地域内-地域内 4件、地域内-地域外 11件、地域外-地域内 26件 でした。
また、他にグラフから分かることは以下のとおりです。
- 2008年と2009年の件数が減少していることから、リーマンショックの影響が宮城県のM&A市場にも及んだ可能性が考えられます。
- 2011年の東日本大震災後、2012年にはM&A件数が増加していることから、震災復興に関連する企業の再編や統合が行われたと推測できます。
- 2018年以降の増加については、政府や地方自治体による地域経済活性化策や、中小企業の事業承継問題への対応策が奏功した可能性があります。
- 宮城県の人口は2003年をピークに徐々に減少傾向にあります。
これに伴い、売上の低迷、働き手不足の深刻化、高齢人口の増加などといったものがダイレクトに企業に直撃すると考えられます。
その結果、事業承継が増加し、M&Aの需要も増えたと推測できます。
全体的な傾向をまとめると、上記の理由から2003年から2022年にかけて、全体的なM&A件数は増加傾向にあります。特に2018年以降は件数が顕著に増加しており、40件を超える年もあります。
今後もますますM&Aの需要は増加していくと推測できます。
仙台市のM&Aにおける事例

仙台市におけるM&Aの事例を紹介するので、是非参考にしてください!
次の事例はこちらを参照にしています。
(買)株式会社manaby/(売)エーシーイー株式会社

M&A実行日:2023/03/16
株式会社manabyについて
株式会社manabyは「一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ことをミッションにしている会社です。
manabyは2016年に創業し、東北・関東・関西エリアにおいてCSP(フランチャイズ)事業所を含め約30拠点の障害者就労支援事業所を展開・運営しています。
事業譲渡の内容と目的と理由
譲受事業の内容
- エーシーイーが運営する就労移行支援事業
- 就労継続支援事業
- 障害児通所支援事業
manabyは、エーシーイーから譲り受ける事業に所属する就労移行支援および就労継続支援のノウハウを持つ人材を承継し、東北エリアでのサービス提供範囲の拡大を図ります。
また、障害児通所支援事業は就労移行支援事業および就労継続支援事業と親和性が高く、両事業の相互活性化が期待できるため、譲受を決定しました。
(買)株式会社ケア21/(売)ソフトケア宮城株式会社

M&A実行日:2023/01/13
ケア21について
ケア21は、訪問介護、居宅介護支援、グループホーム、介護付有料老人ホームなどを首都圏、近畿圏、名古屋、仙台、広島、福岡で展開しています。
事業譲受の内容と目的と理由
譲受事業の内容
- 訪問介護事業所1拠点
宮城県仙台市はケア21の事業において飛び地となるエリアですが、譲受対象事業所が位置する仙台市太白区は仙台市で最も多く事業所を展開しているエリアであり、近隣の事業所との連携が可能です。
このため、今回の事業譲受を決定しました。
ケア21はこれまで培ってきた実績とノウハウを活かし、サービスの充実を図ります。
(買)株式会社エスライン/(売)株式会社クリエイト

M&A実行日:2022/08/30
エスラインについて
エスラインは、貨物運送事業を中心に、運送事業、倉庫業、情報処理事業、車両整備事業、物品販売事業などを展開する事業会社を傘下に持っています。
クリエイトについて
クリエイトは、一般貨物自動車運送事業、電気工事業、家電製品設置業を行っており、東北エリアで家電製品の配送や設置工事業務を強みとした物流サービスを展開しています。
事業譲受の内容と目的と理由
譲受事業の内容
株式会社エスラインは、株式会社クリエイト(宮城県仙台市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。
エスラインはホームサービス事業として家電配送・設置業務を行っていますが、東北エリアには拠点が少ない状況です。
今回のM&Aにより、エスラインは東北エリアでの事業規模の拡大を図ります。
実際のM&Aの流れ

それでは、実際にM&Aを行う際の流れを解説します。
M&Aの実行は会社の命運を左右する重要な経営判断であり、慎重な検討が求められます。
それにはまず、正しく情報を集めることが不可欠です。
しかし慎重に検討を重ねるあまり、M&Aを行う最適なタイミングを逃してしまう可能性もあります。
一定の検討を進めたのちには、実際に行動に移しましょう。
最初に取り掛かる準備として「必要資料の収集」「株価算定」と「企業概要書の作成」があります。
株価算定で算出する価格は、あくまで目安の価格になりますが、自社の実態を把握しM&Aの条件を固める上で算出しておく必要があります。
初期の準備が整った段階で、マッチング(相手先選び)に移ります。
・相手先企業を選定するにあたり、重要な見極めポイントは主に「事業規模や業績など定量情報」「同業種か異業種か」「社風」の3つ。
・譲受け企業側は「成長戦略」「相乗効果」「事業承継」などの視点で検討を行います。
・相手はマッチングサービスで探したり、第3者から紹介されたりすることが多いです。

両社が互いに検討を進めたいという意思を固めたら、それぞれの経営トップ、オーナーが直接顔を合わせる「トップ面談」を行います。
事業に関する質問はもちろん、書面からは読み取ることができない互いの人間性や経営理念などを把握し、相互理解を深める場として設定されます。
トップ面談を終えてから基本合意契約をするまでの検討が両者にとって最も重要なフェーズといわれます。
譲受側(買い手)からポイントを見ていきましょう。
基本合意書を締結した後に行われるのは譲受け候補企業による買収監査(デューデリジェンス,以下DD)です。
財務・税務・法務・労務などの分野で、譲渡企業側が何か問題を抱えていないか調査する、いわば健康診断のようなものです。
M&A後に大きな問題が発覚することがないように、譲受け候補企業側が公認会計士など第三者の専門家に依頼し、実査が行われます。
最終条件を調整する局面で、譲渡側(売り手)が気を付けることは、①優先する条件の決定や売却を先送りにしないこと、②意思決定を他人任せにしないこと、の2点です。
これまでの過程ですり合わせた条件にすべて合意したら、最終契約書を結びます。
最終契約後、従業員や取引先など関係者への説明、情報開示(ディスクロージャー)を行います。
ディスクロージャー(情報開示)のタイミングは、M&Aを実行した直後が一般的ですが、必要に応じて、重要取引先や幹部社員、M&Aプロセスに大きく関わってもらう従業員(経理担当者等)には、事前に開示することがあります。
重要取引先や幹部社員への事前開示や賛同がクロージング条件(資金決済条件)となることもあります。
PMI(=Post Merger Integration)とは、M&A成立後の「経営統合プロセス」を指します。
新経営体制の構築・経営ビジョン実現のための計画策定・両社協業のための体制構築・業務オペレーション、ITシステム統合といった一連の取り組みのことを指し、M&Aによるリスクの最小化と、成果の最大化を目的としています。
まとめ
この記事では、宮城県・仙台市におけるM&Aの現状と地方特有の特徴について解説しました。
中小企業や家族経営が多いため、後継者問題や地域特化型の産業がM&Aの主要な動機となっていました。
具体的な事例として、株式会社manabyのエーシーイー株式会社買収、株式会社ケア21のソフトケア宮城株式会社買収、株式会社エスラインのクリエイト株式会社買収が紹介されました。M&Aのプロセスや宮城県の市場動向も解説しました。
宮城などの地方は人口が少なくなっているため後継者不足になり、M&Aを検討する事業者も増加傾向にあります。
メリットもある反面デメリットもあるのでしっかりと理解した上で経営判断をしましょう。
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トリガーコンサルティングでは、M&Aを単なる事業譲渡の手段としてではなく、社長が辞めた後の事業継続のための一つの選択肢と考えています。
そのため、お客さまの状況や希望に応じて、最適な解決策を一緒に模索します。
M&Aが全てではなく、他の選択肢も含めて最良の提案を心がけています。
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