事例を踏まえて解説!宮城でM&Aする際の失敗しないポイントとは?
宮城県でM&Aをしようとしている方必見です。
宮城県が出している宮城県推計人口によると、現在の宮城県の人口は約225万人とされています。
宮城県の人口は、2003年の約237万人から徐々に減少しています。
この人口減少の結果、企業の売上低迷、労働人口の減少が顕著に出始めています。
その結果、小規模事業者や、中小企業者などの経営体制の会社の多くは、経営難に陥る可能性が高いです。
そこで登場するのが、「M&A」というものです。
M&A(企業の合併・買収)は、ビジネス拡大や新市場への参入に有効な手段です。
しかし、成功するためには多くの注意点が存在します。
本コラムでは、宮城県でM&Aを検討している方向けに、
宮城でM&Aする際の失敗しないポイントについて、事例を踏まえて解説いたします。
この記事はこんな人におススメ
- M&Aをしようとしているしている中小企業
- 会社の後継者がいない
- 会社の事業が多すぎるため、整理したい
- 廃業したくない中小企業
- 従業員やノウハウを後世に継がせたい
事業承継には3つのパターンがある
事業承継には、主に次の3パターンがあります。
初めに、それぞれの概要を解説します。
- 親族内承継
- 親族外承継
- M&A
親族内承継
親族内承継とは、経営者の子など親族に事業を承継させる方法です。
中小企業においては、もっとも多い事業承継方法であるといえるでしょう。
しかし、親族内に適任者がいない場合はこの方法は選択できません。
また、経営者としての資質や能力に欠ける親族を無理に経営者へ押し上げるなどすると、社内に軋轢が生じるリスクがあります。
親族外承継(社内承継)
親族外承継(社内承継)とは、社内の役員や従業員に事業を承継させる方法です。
親族外承継では、株式会社であれば自社株を無償譲渡するのでなく、適正な対価で売買することが多いのですが、後継者候補が株式を買い取るだけの資金を有していないことが少なくないためそこがネックになってくる場合があります。
また、現経営者の個人保証を外しにくいこともデメリットだといえます。
M&A(社外承継)
M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略であり、会社の合併や買収を意味します。
後継者不足が叫ばれる昨今、M&Aを事業承継に活用する企業が増えています。
M&Aの方法には次のものなどがあります。
- 買収
- 合併
M&Aの基本概念
「M&A」という言葉、みなさんは耳にしたことはあるでしょうか。
あまり聞き馴染みのない言葉ではないでしょうか。
まずここでは「M&A」とは何かについて詳しく見ていきたいと思います。
M&Aとは?
「M&A」とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略です。
企業が他の企業を合併または買収することで、経営資源の効率的な利用や競争力の強化を図る戦略の一つのことを指します。
以下に、合併の場合と買収の場合で何が違うのかを図式したのでご覧ください。
合併:合併は二つ以上の企業が一つの企業として統合されることを指します。
合併後、元の企業は消滅し、新たな企業が誕生します。
買収:買収は一つの企業が他の企業を購入し、支配権を取得することを指します。
買収された企業は通常そのまま存続しますが、買収企業の子会社として運営されることが多いです。
つまり、企業または事業の全部または一部の移転を伴う取引を指し、一般的には「会社もしくは経営権の取得」を意味します。
M&Aと聞くと、以前は外資系企業が会社を乗っ取るイメージもありましたが、近年は企業の成長戦略の手段としての意味合いが強くなってきています。
宮城県でのM&Aの現状
さて、今までは「M&A」の内容について迫ってきましたが、ここから本題に入ります。
まずは、今現在、宮城県のM&Aはどのような状況にあるのか見ていきましょう。
冒頭にお話ししましたが、宮城県の人口は2003年をピークに徐々に減少傾向にあります。
これに伴い、売上の低迷、労働人口減少による働き手不足の深刻化、高齢人口の増加などといったものがダイレクトに中小企業をはじめとする企業に直撃すると考えられます。
その結果、中小企業を取り巻く経営環境はさらに厳しいものになっていくと考えられます。
上記の図は、2022年における宮城県のM&A件数を表しているものになります。
2018年〜2022年にかけて高い数値が記録されています。
このことより、県内では近年になりM&Aという手段が活発的に使われるようになったと言えます。
- 宮城県の人口は減少傾向にある
- それに伴った働き手不足により中小企業の経営が難しくなりつつある
- そのため県内ではM&Aの需要が急激に高くなると予想される
- 実際にグラフや、データからも読み取ることができる
M&Aの事例紹介:成功と失敗
ここからは、M&Aした企業の成功例・失敗例をそれぞれ見ていきたいと思います。
【成功例】エスラインによるクリエイトのM&A
運送業や3PLソリューション、引越し、車両メンテナンスなどといった幅広い分野を手掛ける「株式会社エスライン(岐阜県)」は、一般貨物自動車運送事業、電気工事業、家電製品設置業などを手掛ける「株式会社クリエイト(宮城県)」を子会社化しました。
エスライングループもホームサービス事業として家電配送・設置業務を行っているが、東北エリアには拠点が少なく、本件M&Aによりグループで手掛けている家電配送・設置業務を強化したい考えとされています。
実行時期:2022年9月
スキーム:株式譲渡
目的:家電搬送・設置業務の強化
引用:https://hideal-p.com/miyagi-ma/#index_id6
【失敗例①】パナソニックによる三洋電機のM&A
大手家電メーカーのパナソニックは、2009年に6600億円の資金を投じて、三洋電機を買収しました。
内の5180億円はのれん代に充てられました。
しかし、その後わずか2年で三洋電機の企業価値は半分近く下落してしまいました。
パナソニックの発表によると、三洋電機の企業価値下落の原因は「三洋電機の主力であった民生用リチウムイオン電池の事業価値が、円高などによって大きく毀損した。」とのことだった。
実行時期:2009年
スキーム:株式譲渡
目的:事業拡大
引用:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/post-2616
【失敗例②】キリンホールディングス株式会社によるスキンカリオールのM&A
国内のビール市場で、上位のシェアを誇るキリンホールディングス。
そんな会社も過去に海外M&Aに失敗しているという事実もあります。
そんなキリンホールディングスは、ブラジル2位のシェアを誇る「スキンカリオール(ブラジル)」というビール会社を3000億円という資金で買収しました。
当時のブラジルは年10%の成長が見込める市場でしたが、景気悪化の影響でベルギーの会社との価格競争に敗北しました。
2015年12月期の決算で、ブラジルキリンは1100億円の減損を計上。
上場以来初の473億円の赤字を出しました。
最終的に、ブラジルキリンは2017年にオランダのハイネケングループに770億円で売却されています。
実行時期:2011年11月
スキーム:株式譲渡
目的:海外への事業拡大
M&Aのメリット・デメリット
次に、M&Aをするメリット・デメリットについて譲渡企業・譲受け企業それぞれの視点でご紹介します。
M&Aのメリット(譲渡企業)
- 従業員の雇用を守ることができる
- 技術やノウハウが承継される
従業員の雇用を守ることができる
M&Aには、従業員の雇用を守ることができるメリットがあります。
特に中堅・中小企業のM&Aの場合、「従業員の雇用維持」が譲渡先への条件のひとつに挙げられます。
M&A後、従業員は新しいオーナーのもと、従来通りの条件で引き続き雇用され続け、顧客や取引先も継承されるケースが一般的となっています。
技術やノウハウが承継される
廃業を選択すると、長年磨いてきた技術や蓄積したノウハウが失われてしまう可能性があります。
せっかく積み上げてきたものがなくなってしまうのはもったいないです。
M&Aによる事業承継では、経営権だけでなく育ててきた技術や試行錯誤を重ねたノウハウも譲受け企業に引き継ぐことができます。
M&Aのメリット(譲受け企業)
- 自社の技術力・生産力向上
- 事業の多角化を推進できる
自社の技術力・生産力向上
M&Aによって譲り受けた会社の技術やノウハウを得ることで、新たな分野への展開、技術力向上につなげることができます。
また、両社の技術・リソースを補完しあうことで生産力向上にもつながります。
事業の多角化を推進できる
M&Aによって、新規事業の参入や、既存事業におけるシナジー創出によって、将来的に他の事業へ進出できる可能性が高まります。
また、多角化は収益の拡大やリスク分散につながります。
M&Aのデメリット(譲渡企業)
- 企業文化のミスマッチ
- 既存顧客や取引先との契約・関係性が変わる可能性
企業文化のミスマッチ
人事や社内システム、組織体系などハード面が統合できても、それぞれが築いてきた企業文化の統一にはソフト面などといった部分の統合など、時間を要します。
福利厚生や権限移譲の範囲、時間外の交流などの統一を無理に推進すると従業員から反発が起きかねません。
¥、PMIコンサルティングなど外部の専門家を活用しながら慎重に協議を進める必要があります。
既存顧客や取引先との契約・関係性が変わる可能性
M&Aを検討する上で、既存顧客や主要な取引先との契約内容の確認が必要条件となってきます。
注意すべき代表的なポイントとして、チェンジ・オブ・コントロール条項(COC)があります。
これはM&Aなどを理由に一方に経営権の移動があった場合、契約内容に制限がかかる、もしくは解除することができる規定のことを指します。
この規定があった際、契約相手に通知し承諾を得る旨が定められている場合もあります。
契約の相手方の状況を把握し、どのようにコンタクトをするか、そもそもコンタクトをするべきかを含めて検討することが重要になります。
M&Aのデメリット(譲受け企業)
- 短期間では相乗効果が表れにくい
- 統合後の組織再編はスムーズにいかない
短期間では相乗効果が表れにくい
M&Aの検討から実行~成約までおよそ1年半かかるのが一般的です。
そして、M&A実行後からが本番と言っても過言ではありません。
歴史や社風の異なる企業同士が、一朝一夕で上手くいくケースはほとんどありません。
M&A後のシナジーを発揮するには、中長期で取り組む覚悟が必要となってきます。
統合後の組織再編はスムーズにいかない
M&Aによる統合は、進め方を誤ると思うようにスムーズに進まない場合があります。
そのため、基本合意の段階で統合の戦略を深める、組織構成をシンプルにする、情報システム・人事・業務プロセスの対応をしっかりする、などといったPMI(経営統合プロセス)についての準備を進めていくことが重要になります。
失敗しないためのポイント
ここまで「成功例・失敗例」をそれぞれ見てきました。
ここからは、失敗しないためにはどのようにすればいいのか。そのポイントについて見ていきたいと思います。
- 事前の相手企業の調査
- 自社の分析
- コミュニケーションの強化
- 日本・世界の情勢を先読みする
事前の相手企業の調査
まず1つ目は、事前の相手企業の調査です。
対象企業の財務状況、経営状況、従業員の状況、顧客のニーズなどといったものを詳しく調査するようにしましょう。
特に地方などでは、地域特有の市場状況や競争環境を理解することが重要です。
自社の分析
2つ目が、自社の分析です。
自社の分析は買収側・売却側それぞれにとって、とても重要なポイントとなってきます。
買収側であれば、自社の経営状況を分析し、どのような事業の買収が適切であるかを把握する必要があります。
一方で、売却側は自社の強みや課題を分析しておくことで、買収側との円滑な交渉が期待できると言うメリットがあります。
コミュニケーションの強化
3つ目が、コミュニケーションの強化です。
しっかりとしたコミュニケーションをしておかないとM&Aをした後の相互の思いのズレに直結します。
M&A後の混乱を避けるためにも、従業員や顧客様などとのコミュニケーションを強化するのが重要です。
従業員の不安を解消し、新しい経営方針を共有するようにしましょう。
日本・世界の情勢を先読みする
4つ目は、日本・世界の情勢を先読みするです。
日本や世界の情勢を読み解くことは、M&Aには必要不可欠なものになってきます。
M&Aをして買収したはいいものの、その後の景気の悪化や物価の高騰などで「買収しない方が結果的には良かった」
売ったはいいものの「売らなかったければ良かった」などとなってしまったら本末転倒です。
しっかりと先読みをし、今後どのようなことが起きるのか判断してからM&Aするようにしましょう!
まとめ
今回は「事例を踏まえて解説!宮城でM&Aする際の失敗しないポイントとは?」と題して、
- M&Aの基本概念
- 宮城県でのM&Aの現状
- 事例紹介:成功と失敗
- 失敗しないためのポイント
の4つに分けて詳しく見てきました。
ぜひM&Aをする際には、今回の記事を参考にして見てください。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
ぜひ他の記事後ご覧になって見てください。
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トリガーコンサルティングでは、M&Aを単なる事業譲渡の手段としてではなく、社長が辞めた後の事業継続のための一つの選択肢と考えています。
そのため、お客さまの状況や希望に応じて、最適な解決策を一緒に模索します。
M&Aが全てではなく、他の選択肢も含めて最良の提案を心がけています。
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