【経営力向上計画】メリットと活用方法についてわかりやすく解説!
中小企業政策として、補助金の注目度は高い一方、
経営力向上計画はご存じでしょうか?
中小企業者や中堅企業が行う経営力向上のための
人材育成や財務管理、設備投資などの取り組みに対して、
税制支援や金融支援があります。
本コラムでは、経営力向上計画のサポートが可能な認定経営革新等支援機関として、
経営力向上計画を活用するメリットや申請方法についてわかりやすく解説いたしますので、
事業拡大に向けて、活用をご検討ください!
この記事はこんな人におススメ
1.アフターコロナにおいて、設備投資を行いたい中小企業
2.経営力向上計画について詳しく知りたい事業者
3.税制支援を受けて、節税を行いたい事業者
4.金融支援を受けて、スケールアップしたい事業者
5.中小企業の支援策についてを把握したい事業者
経営力向上計画の概要
経営力向上計画は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、
自社の経営力を向上するために実施する計画であり、
認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。
【経営力向上計画を活用できる要件】
・青色申告書を提出していること
・資本金又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
各種類型
申請を行う場合、以下の4つの類型(A類型~D類型)のうち、該当する類型より申請いたします。
類型 | 条件 | 確認者 | 対象設備 | 参考URL |
---|---|---|---|---|
A類型 ※生産性向上設備 | 生産性が年平均1% 以上向上 | 工業会等 | 機械装置 (160万円以上) 工具 (30万円以上) 器具備品 (30万円以上) 建物附属設備 (60万円以上) ソフトウェア (70万円以上) | 工業会等による証明書 |
B類型 ※収益力強化設備 | 投資利益率5%以上 のパッケージ投資 | 経済産業局 | 経済産業局による確認書 | |
C類型 ※デジタル化設備 | 遠隔操作、可視化、 自動制御化を可能にする設備 | 経済産業局 | 経済産業局による確認書 | |
D類型 ※経営資源集約化 に資する設備 | 修正ROA又は 有形固定資産回転率 の改善が見込まれる パッケージ投資 | 経済産業局 | 経済産業局による確認書 |
詳細については、以下の手引きをご参照ください。
経営力向上計画認定のメリット
経営力向上計画の認定を受けるメリットはいくつかありますが、
特に恩恵のあるメリットとして、税制措置と金融支援について、ご説明いたします。
1.税制措置(中小企業経営強化税制)
法人税(個人事業主の場合には所得税)について、税制措置がありますが、
「即時償却 or 取得価額の10%(※)の税額控除」より選択可能です。
※資本金3000万円超1億円以下の法人は、「取得価格の7%の税額控除」
それぞれのメリット・デメリットは、以下の通りです。
項目 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
即時償却 | 減価償却費を購入した年に、 一括経費計上が可能 | 購入した年の減価償却費の増加分、 税金負担を大幅に軽減することが可能 | 購入した年の利益がない(赤字)の場合、税金負担の軽減効果は薄い |
取得価額の10%の 税額控除 | 法人税の削減(節税効果)が可能 | 法人税がダイレクトに削減されるため、キャッシュアウトの抑制が可能 | 購入した年の利益がない(赤字)の場合、節税効果は薄い |
【具体的な効果額(税制控除の場合)】
①投資額2,000万円×税額控除率10%=税額控除額200万円
②法人税500万円の場合、①を差し引いた300万円が法人税となり、200万円分の節税効果。
2.金融支援
経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、融資を受ける事ができます。
日本政策金融公庫では、中小企業向けの低利融資を提供しており、
経営力向上計画に認定された企業は、以下の通り、有利な条件で融資を受けることができます。
項目 | 概要 |
---|---|
貸付金利 | 【中小企業事業】基準利率については、2億7,000万円を限度として特別利率② 【国民生活事業】基準利率については、特別利率B ※いずれも、設備資金(土地及び建物に係る資金)を除く |
貸付限度額 | 【中小企業事業】7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円) 【国民生活事業】7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
貸付期間 | 設備資金20年以内、長期運転資金7年以内(据置期間2年以内) |
経営力向上計画の申請に向けて
経営力向上計画の申請にあたって、証明書の発行依頼等、申請前に対応すべき点を解説いたします。
申請に向けた手順
本制度の流れ(参考として、A類型を抜粋)は下記のとおりですが、
事業者様自身で取り組むことは、下記STEP①⑤⑦⑧になります。
【事業者様⇒設備メーカー等】証明書の発行依頼を行います。
【設備メーカー等⇒工業会等】証明書の発行申請を行います。
【工業会等⇒設備メーカー等】証明書が発行されます。
【設備メーカー等⇒事業者様】証明書を入手します。
【事業者様⇒経済産業局等】証明書の写しを添付して、経営力向上計画の申請を行います。
【経済産業局等⇒事業者様】経営力向上計画の認定を受けます。
【事業者様】計画に沿って、設備を購入します。
【事業者様⇒所轄の税務署】税務申告を行います。
必要な書類
経営力向上計画の認定申請には、以下の書類が必要となります。
提出書類 | 備考 |
---|---|
①申請書(原本) | |
②申請書(写し) | 都道府県に提出する場合に限ります。 |
③チェックシート | |
④返信用封筒 | A4の認定書を折らずに返送可能な封筒サイズ。 返送用の宛先を記載し、切手を貼付。 (申請書類と同程度の重量のものが送付可能な金額) |
【設備投資について税制措置を受ける場合】 ⑤工業会等による証明書(写し) | 中小企業経営強化税制A類型の税制措置 |
【設備投資について税制措置を受ける場合】 ⑥投資計画の確認申請書(写し) | 中小企業経営強化税制B~D類型の税制措置 |
【設備投資について税制措置を受ける場合】 ⑦経済産業局の確認書(写し) | 中小企業経営強化税制B~D類型の税制措置 |
【事業承継等について支援措置を受ける場合】 ⑧事業承継等に係る基本合意書等の 相手方の合意を示す資料 | |
【事業承継等について支援措置を受ける場合】 ⑨事業承継等に係る誓約書 | |
【事業承継等について支援措置を受ける場合】 ⑩被承継者が特定許認可等を受けていることを 証する書面 | 許認可承継の特例を受ける場合に限ります。 |
【事業承継等について支援措置を受ける場合】 ⑪貸借対照表・損益計算書 | 事業承継等に必要な資金に関して、 経営者の個人保証を不要とする 中小企業信用保険法の特例 による金融支援を受ける場合に限る。 |
【事業承継等について支援措置を受ける場合】 ⑫事業承継等事前調査チェックシート | 事業承継等事前調査に関する 事項を記載する場合に限る。 ※中小企業事業再編投資損失準備金または 経営力向上設備D類型の活用を希望する場合等 |
電子申請の流れ
経営力向上計画のHPより、電子申請ページがありますので、そちらから電子申請を行います。
ただし、電子申請にあたって、GビズIDの登録が必須となりますので、
申請をご検討の事業者様はあらかじめ取得を推奨いたします。
「申請に向けて何から手をつけたら良いか分からない!」
とお困りの事業者様は、下記よりお気軽にご相談ください!
経営力向上計画の活用事例
具体的な事例としては、以下3つの事例をご紹介いたします。
株式会社ツルヤ(POSシステムの導入)
【経済産業省認定(各種商品小売業)】
・明治25年より地域に密着したスーパーマーケットを展開している小売業者。
・下記取組によって、生産性の向上を図る。
〈具体的な取組〉
①今まで出店の無かった地域に、新規店舗を開設。新規店舗にはPOSシステムを導入し、
新規店舗の顧客の趣向と消費動向を分析、売れ筋商品と販売数量の調査を行い、
地方の商品の特徴や、顧客のニーズに対応した製品開発を行う。
②新規店舗出店にあたって、経営強化税制に基づく税制優遇を活用。ショーケースや
ベーカリーオーブン等の設備を導入し、顧客ニーズに対応した店舗作りを行う。
株式会社まるい(急速冷凍設備の導入)
【農林水産省認定(農畜産物・水産物卸売業)】
・鮮魚を漁師から直接仕入れて、飲食店等に配送する卸売業者。
・下記取組によって、付加価値の向上を図る。
〈具体的な取組〉
①鮮魚の調理ができる人材が不足している飲食チェーン、スーパー等をターゲットに、
朝穫れ鮮魚・加工・当日配送サービスを行い付加価値向上を図る。
②真空パック、急速冷凍設備等の設備を導入し、
安全安心な食品をスピーディーに顧客に届けることで、他社との差別化を図る。
愛さんさん宅食株式会社(タブレット端末の導入)
【厚生労働省認定(老人福祉・介護事業)】
・高齢者を対象とした宅食事業と障害をお持ちの方の就労支援事業を行う会社。
・訪問介護が必要な高齢者の方へ、介護サービスを提供。
・下記取組によって、生産性の向上を図る。
〈具体的な取組〉
①通所型介護事業で必要な機械浴用の設備を導入し、職員負荷を軽減させる。
②タブレット端末を導入し、専用の介護ITシステムを導入。
これにより職員の書類作成の負担を軽減させ、業務の効率化を図る。
経営力向上計画の申請サポートのご案内
類型によっては、認定経営革新等支援機関(金融機関、中小企業診断士等)による
計画策定の支援を受ける必要があります。
当社代表の伊藤は認定経営革新等支援機関であり、申請サポートが可能なため、
申請をご検討中の事業者様は、お気軽にご相談ください!
申請に向けたサポート料:150,000円(別途消費税)
詳しくは、下記よりお問い合わせください。
経営力向上計画のまとめ
本コラムのポイント
・経営力向上計画は、税制優遇や金融支援を受けられる支援策!
・認定に向けて、証明書の発行や、経営力向上計画の申請が必要。
・類型によっては、認定経営革新等支援機関のサポートが必要。
・中小企業向けの支援策として、補助金の支援策も充実している。
その他中小企業支援策のご案内
詳細は、下記コラムをご参照ください。